今回は新たに手を加え作り出す建築物が、現存する価値ある建物群の雰囲気を壊さないように配慮する必要がある。 この場所にガラスや鉄で作られた現代を象徴する建物を建てれば、この場所の持つ雰囲気が台無しになり、しかし、同じような歴史ある建物を模写すると博物館のようになり、味気ないものになってしまうだろう。そのために、昔からこの場所に存在する材料を使って新しい形を創造する。


特にこの地方で使われている“藁”を使って全体的な雰囲気を作りたい。
古いものから影響を受け、そして現代的な美しさも合わせ持つ芸術作品のような美しい空間と共に、どこか懐かしい世界の中で未来的な要素を感じる不思議な別世界を創造した。 そのために、この地方で伝わる”藁”を利用できないかと考えた。 色々な編み方のできる藁を使って、建物を包みこむ方法である。

今回、当社が提案したいのは、“別世界”である。
この敷地内に入ったときから、懐かしいのだがいままで見たことがない、そのような空間を作り、まるで俗世間から離れた別世界に来たような錯覚を起こさせることが目的である。

この場所は冬になると雪で覆われ大変幻想的な美しさに包まれる。 計画の目的は、温泉と宿泊場所を作ることである。 そこで、「湯」と「雪」と「人間」の新しい関係を作りたい。 この空間は、時間や季節、天気などによって見え方や使い方が変わり、1時間後も1年後でもどんどんと変化していく場所になる。そのため、どのような時でも新たな発見や喜びが見出せる場所である。

温泉にいくとよく色々な風呂が点在している。 今回はそのようなものではなく、大きな1つの風呂として考えたい。 今後の拡張にも臨機応変に対応できる細長い川のような風呂をつくる。 この川が宿泊施設であるコテージに対してのプライベート的な風呂の使い方になり、または、コテージから曲がり家(メイン施設:レストラン)へ行くための散歩道になる。